巨大なロケットはそのほとんどが燃料タンクです。
そんな大量の燃料ですが、大気圏脱出時にはどれほどの量を、どれくらいの勢いで消費しているのでしょうか?
YoutubeチャンネルのHazegrayart氏は、ロケットを透明化して燃料が消費される様子を映した動画を公開しています。
これを見ると、ロケットの打ち上げをちょっと違った視点から楽しめるかもしれません。
歴代ロケットの燃料消費
動画に映っているロケットは使用年代順で、左からサターンV型ロケット、スペースシャトル、ファルコン・ヘビー、スペース・ローンチ・システム(SLS)です。
画像で赤がケロシン系ロケット燃料RP-1、黄色が液体水素LH2、青が液体酸素LOXです。
液体水素と液体酸素を使った化学推進が、現在もっとも効率の高い推進力を持つロケット燃料です。ただ液体水素は極めて大きな燃料タンクを必要とします。
動画でもわかるように、ロケットの多くの部分は液体水素の燃料タンクに占められています。
サターンV型ロケット
通称サターンVは、1967年から1973年までNASAがアポロ計画に使用していた3段ロケットです。
古いロケットなので燃費も一番悪く、各ミッションでの燃料消費量の平均は207万6545 kgです。
これは重さ14万kgの積荷(ペイロード)を軌道上まで持ち上げることができ、4万8600kgの積荷を月に送っていました。
まだアメリカとソ連が宇宙開発競争を行っていた冷戦下のロケットのため、古いながらも現代まで含めた歴代ロケットの中でトップクラスの打ち上げ能力を誇っています。
スペースシャトル
多くの人々にとって、ロケットの代名詞といえば、このスペースシャトルでしょう。
スペースシャトルはNASAが、1981年から2011年にかけて使用した宇宙船で、再利用できるところが特徴でした。
もっとも長い期間利用されていたロケットであり、135回も打ち上げられました。
メインエンジンとロケットブースターに液体燃料を組み合わせて使用していて、1度の打ち上げで合計で173万5601kgの燃料を使用し、2万9000kgの積荷を軌道上へと打ち上げることができました。
再利用できるので低コストで宇宙に行けるというのが、もともとの計画でしたが、実際は再利用のための設備点検に莫大な費用がかかり、あまり経済的なロケットではありませんでした。
ファルコン・ヘビー
ファルコン・ヘビーは2018年2月に初めて打ち上げに成功した、イーロン・マスク氏がCEOを務める民間企業スペースX社が開発した大型ロケットです。
二段式ロケットで、どちらも推進剤にはロケット燃料RP-1と液体酸素LOXを組み合わせて使っていて、合計41万1000kgの燃料を消費します。
これは6万4000kgの積荷を軌道上へ運ぶことができ、非常にパワフルなロケットです。
このロケットの打ち上げでマスク氏は、自らがCEOを務める別会社テスラの赤いロードスターを積載して打ち上げるというパフォーマンスを行いました。
ロケット比較動画でも、よく見ると、最後の方でファルコン・ヘビーのフェアリングが外れると、中にロードスターが載っているという小ネタが仕込まれています。
スペース・ローンチ・システム(SLS)
動画の一番右側に表示されているのが、まだ開発中で実際打ち上げは行われていない最新鋭のロケット、スペース・ローンチ・システムです。
これは月へ向かうアルテミス計画や、火星への有人飛行ミッションの使用が計画されています。
燃料の正確な消費量については、まだ未定ですが、最大で12万9727kg以上の貨物を打ち上げ可能で、サターンVよりも推力は20%以上高いとされています。