
- トウモロコシが初めて主食となった時期が判明
- メソアメリカでは約4700年前から3700年前の間にトウモロコシ食が普及したと考えられる
現在、トウモロコシはタコスやポップコーンなどの食材、石鹸や化粧品などの日常品として世界中で使用されており、2019年には10億トンも生産されています。
今やどこにでもある重要植物「トウモロコシ」ですが、それらが食べ始められた時期については、ほとんど知られていませんでした。
ニューメキシコ大学の人類学教授キース・プルファー氏ら研究チームは、中米の岩盤から保存状態の良い古代人の骨格を発見し、そこからトウモロコシが主食となった時期を明らかにしました。
トウモロコシの歴史
トウモロコシは、約9000年前の中央メキシコのバルサス川渓谷で育つ野生の草「テオシント」の栽培化が起源のようです。
そして、約6500年前にマヤの低地で最初のトウモロコシ栽培が行われました。
しかし、この時点ではトウモロコシが主要な穀物だったという証拠はありません。
むしろトウモロコシの最初の使用はお酒だったと思われます。トウモロコシは多くの糖分を含んでおり、メソアメリカ(メキシコおよび中央アメリカ北西部の地域にあった高度文明)では伝統的に発酵飲料として利用されてきました。

今回のプルファー氏の論文は、「トウモロコシが人間に主食として採用された」ことを示す初めてのものです。
さて、食糧生産と農業は人類の歴史の中で最も重要な文化的革新の1つです。農業は人々が大きなグループで生活することを可能にし、食糧生産を中心とした恒久的な村の開発に寄与するからです。
実際、マヤ地域では3000年前から1000年前の間に、農業によって都市国家の発展が起こりました。
しかしこれまでは、初期のメソアメリカ人がいつから農民になったのか、またどのようにトウモロコシが主食として受け入れたのか分かっていませんでした。
彼らは採食・狩猟・園芸などで非常に成功していたので、そこからの農業への移り変わりは、考古学者たちにとって非常に興味深い情報なのです。