トウモロコシ発見
古代人の食事にトウモロコシがどの程度含まれていたかを調べるために、研究者たちは発掘された52人の骨と歯に含まれる炭素同位体を測定しました。
人間の骨は食物から得られた多くの物質で成り立っています。中でも炭素は非常に大切な役割を担っています。
そして、食べ物の種類によって炭素が含まれる割合は異なります。そのため骨の炭素の割合と比べることで、その人の食生活が明らかになるのです。
調査対象の遺骨で最古のものは約9600年前のものであり、一番新しいものは約1000年前のものでした。
分析の結果、最古の遺骨からは、野生の植物、ヤシの実、果物、狩猟によって得た肉を食べていたと判明。
さらに、それから4700年前までには食生活がより多様化しており、中には初めてトウモロコシを食べた人もいました。この時点では食生活においてトウモロコシが占める割合は30%未満でした。
しかし、その700年後にはトウモロコシの割合が70%まで増加しています。
つまり、トウモロコシの主食としての広がりは4700年前から3700年前の1000年間に起こったと考えられるのです。この発見は農業・社会発展の歴史を知るうえで大いに役立つでしょう。
今後、研究は次の段階へ進む予定です。
プルファー氏は「新しいテクノロジーを活用するなら、古代のDNA研究、アミノ酸の同位体分析を通じて更に詳しく分析できる」と述べています。
この研究は6月3日、「Science Advances」誌に掲載されました。
Early isotopic evidence for maize as a staple grain in the Americas
https://advances.sciencemag.org/content/6/23/eaba3245