ハチドリの知覚世界
実験では、非スペクトル色を含む多くの色が表示されるように設定されたLED装置が用いられました。
このLED装置を準備した2つの給水場に設置します。片方はハチドリの好きな砂糖水で、もう片方は普通の水です。
砂糖水には、人に見えない「紫外線+緑」のライトを当て、普通の水には人に見える「緑」のライトを当てました。人の目にはどちらも同じに映ります。
実験は反復して行われ、場所の記憶を使えないよう定期的に給水場も入れ替えました。
その結果、ハチドリは、「紫外線+緑」と関連する砂糖水を一発で当てるようになったのです。これはハチドリが「紫外線+緑」を目印にして、砂糖水を選んでいることを証明します。水の識別に、嗅覚は使われていませんでした。
3年に及ぶ実験の中で、ハチドリは、人には見えない「紫外線+赤、紫外線+緑、紫外線+黄、紫外線+紫」のような色を明確に見極めていることが明らかになっています。
研究チームのメアリー・キャスウェル・ストッダード氏は「この結果は、人の色覚が3原色を基本とするのに対し、ハチドリは4原色を基本とすることを証明している」と指摘します。
また同時に、約1000種類の鳥の羽毛と2400種類の植物を調べた結果、ハチドリは、その3分の1を非スペクトル色として知覚していることも分かりました。
おそらくハチドリは、4原色をベースとする視覚能力を、自然界における採餌や交配、捕食者からの逃避行動に大いに活用しているのでしょう。
研究の詳細は、6月15日付けで「PNAS」に掲載されました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/09/1919377117
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/53526
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