- 火星の昼側での「大気光」の観測に初成功
- 太陽光と酸素の相互作用により、火星の大気層が緑色に発光する
ベルギー・リエージュ大学およびESA(欧州宇宙機関)により、緑色に発光する火星の大気層の観測に初めて成功しました。
これは太陽光と酸素の相互作用による「大気光(airglow)」という現象で、地球の一部上空でも見られるもの。
天文学者たちは、「大気光は火星でも起きている」と40年前から主張していましたが、実際に確認されたのは今回が初めてです。
また、大気光は一見するとオーロラに似ていますが、メカニズムは違うとのこと。
一体、どんな現象なのでしょうか。
地球の大気層は常に光っている
オーロラは、太陽風により飛んできた荷電粒子が、大気圏中の原子をイオン化させることが原因で発生します。
これに対し、大気光はオーロラより明るさが微弱で、太陽光と大気との間の相互作用によって発生し、大きく分けて2パターンに分類されます。
一つは「夜光」と呼ばれるもので、日中の太陽放射によりバラバラになった原子たちが夜間に再び結びつくことで、光エネルギーを放出します。
地球で見られた大気光(ISS撮影)/Credit: European Space Agencyもう一つは「昼光」。今回火星で見られた大気光はこちらです。
昼光は、文字通り昼間に発光するので、夜光より観測が困難です。発生メカニズムは、大気中の分子が昼間に太陽光を吸収することで生じます。
こうした発光作用が大気中で常に生じているため、地球の空は夜でも完全には暗くなりません。幅広い波長で微弱な光を放っているので、地上の光害や星の光などを消したとしても明かりは残るそうです。