火星で初観測に成功!
今回の火星の発光現象は、ESAが主導する火星探査計画「エクソマーズ」の中で発見されました。
観測に使われたのは、2016年に打ち上げられた火星周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」です。
先ほど話したように、大気光がそこまで明るくないので、観測は角度が重要になります。
研究チームは、地球の大気光の撮影に成功しているISS(国際宇宙ステーション)に学んで、「火星を真下に見下ろす観測位置」から「火星の大気圏を横切って地平線が見えるような観測位置」に変更しました。
観測は、昨年の4月24日〜12月1日の間に行われ、高度20〜400キロの範囲で火星の大気圏のデータが採集されています。
そして、データを分析した結果、可視光と紫外線の両方で、緑色に発光する昼光が見つかったのです。
明るさは、火星〜太陽間の距離の変化に応じて変化しており、高度80キロ付近で最も強く発光していました。
また、発生プロセスの分析では、地球における大気光と似ていることも分かっています。
太陽光が火星の大気層に当たることで、二酸化炭素が一酸化炭素と酸素に分裂し、その後、酸素と太陽エネルギーとの反応で緑色に発光していたようです。
研究主任のジャン・クロード・ジェラール氏(リエージュ大学)は「今回の成功により、地球以外の惑星での大気光研究に進展が期待される」と話しています。
研究の詳細は、6月15日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1123-2
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