光合成のモデル化に成功
さらに、アルプ氏は光合成の謎を解き明かすために、上の図のような光合成の仕組みをモデル化した独自の装置を作りました。
装置は葉緑体内部で光を吸収する2種類のクロロフィルを代表する光合成アンテナと、運ばれるエネルギーが葉緑体内部を電子を受け渡しながら伝達するする仕組みを模したアンテナ群から成り立っています。
光合成アンテナに光があてられると、装置の内部を中継して最終的に1つの信号に合成されます。
装置は極めてシンプルながら、アンテナの光吸収設定を現実の生物に即して変更することで、光合成における光の吸収から化学エネルギーへの変換までの過程を高い精度で再現できました(特に陸上の緑色植物の最限度は98%)。
結果、まず最初に2つの連続したピークの謎が解き明かされました。
2つの種類のクロロフィルがお互いの吸収する光の波長に適度な距離があるとき、光合成によるエネルギー生産が最も安定していたのです。
上の図のようにピークの間が短すぎるとき、外的な要因がない場合は常に中央の最適値とほぼ同じエネルギーが得られるのですが、外部的な光の増減(ゆらぎ)がある場合、適性値から遠ざかってしまいます。
逆にピークの間が長すぎても、エネルギー変動幅が増加して、やはり最適値かた離れてしまいました。
生物たちは長い時間をかけて、飲み込む光(の波長)の食べ合わせを調節して、出力されるノイズを減らした最適な吸収パターンを手に入れていたのです。