がんで化学変化したDNAを検出する
これまでの研究によって、体の中にがん細胞が発生すると、血液にがん細胞特有の「化学的に変化したDNA」(メチル化DNA)が放出されることが知られていました。
しかしがんの初期段階では血液中のがん細胞DNA(無細胞循環腫瘍DNA)は限られており、検出は困難です。
そこで研究チームは、がんになると化学変異(メチル化)する500の場所を同時に測定する、高精度かつ複合的な検出器を作成しました。
加えてチームは、中国の泰州で123,000人から10年に渡り血液サンプルを採取すると共に、個人の健康診断の結果を入手し、実験期間中に1000人ががんにかかった事実をつかみました。
日本ではなかなか実行できない、大規模かつ大胆なデータ収集と言えるでしょう。
また研究チームは得られた血液サンプルを、ずっとがんにかからず健康だったもの(414サンプル)、既にがんと診断されたもの(223サンプル)、1〜4年以内にがんにかかったもの(191サンプル)の3つに分類し、血中DNAのメチル化パターンを検診断システムにトレーニング(機械学習)させました。
そうすることで研究チームは「複合的なメチル化DNAの検出器」と「人間の認知能力を超える優れた診断システム」を手に入れたのです。
結果、がんと診断されていなかった人間が、その後、がんになるかどうかを最大で4年前に、95%の精度で予測することに成功しました。