白色矮星の環境が理解できるようになる
実験室内で作られた超高圧は、地球大気圧の4億5千万倍です。
こうした極端な環境は、白色矮星のエンベロープ(星を覆う雲)を理解するために重要だといいます。
白色矮星は、太陽のような中低質量の星が晩年に収縮と膨張を繰り返して核燃料を使い尽くしたときに形成される星です。
それは燃え尽きた星の核(炭素と酸素の高密度な混合物)でできていて、この白色矮星にはガス上に星を包むエンベロープがあります。
白色矮星のエンベロープには、炭素が強く圧縮されて高温のスペクトル線を放っているHot DQというものが見つかっていますが、これを含めた状態方程式がうまくモデル化できていないのです。
実験では、これは炭素が極度に圧縮されたとき、その圧力で炭素原子から内殻電子が剥ぎ取られ透明度が低下させていると判明しました。
白色矮星は高密度で非常に重力が強く、地球上で体重50kgの人が白色矮星に行けば体重が1600万kgを超えてしまいます。
そのような極端な環境で炭素にかかる圧力は、通常考えられるモデルと計算に不一致を生み出してしまうのです。
ここで何が起きているか、星の進化の最終段階を理解するために、高圧力の実験が役立つのだそうです。
白色矮星は宇宙の年齢や、周囲の星の年齢を測るための時計のような役割もあります。そこで起きる振る舞いを理解することは、飛んでもない高圧実験は宇宙を調査するために重要なのです。
この研究は、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の研究チームより発表され、論文は科学雑誌『Nature』に8月5日付けで掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2535-y