微生物は宇宙で生きられるのか? JAXAの「たんぽぽ計画」
そこで、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」でJAXAと東京薬科大学及び26の研究機関が参加して実施されたのが、「たんぽぽ計画」と呼ばれる有機物や微生物の宇宙空間での生存可能性を探る研究です。
これもパンスペルミア仮説を探る研究で、たんぽぽの綿毛のように宇宙に散った生命の種が地球に落ちて発芽したというイメージから「たんぽぽ計画」と名付けられています。
「たんぽぽ計画」の一環で実施された実験の1つが、今回報告されている微生物を宇宙空間の紫外線照射下に長期間曝露するというものでした。
この実験では、放射線耐性微生物「Deinococcus radiodurans:デイノコッカス・ラジオデュランス」を宇宙空間に3年間曝露しました。
その結果、デイノコッカスの菌体の塊は紫外線を浴び続けた状態でも、数年生存可能である事が明らかになったのです。
火星-地球間の自然に発生する移動は、平均すると数千万年かかりますが、最短の軌道で移動した場合にかかる時間は3年程度と考えられています。
この成果は、微生物が紫外線に晒されたとしても惑星間を移動可能だったことを示唆しています。少なくとも地球上の生命は、最初火星で誕生しその後地球へ渡ってきた可能性が出てきたのです。
研究チームはこれを「マサパンスペルミア(マサは塊の意味)」と呼んでいます。