高エネルギー核廃棄物が、核ダイヤモンド電池の原料になる
核ダイヤモンド電池の原料は、原子炉において減速材として使われている黒鉛です。
減速材とは原子力発電において、中性子と核燃料を効率よく反応させるために用いられる物質のことで、水や黒鉛が多用されています。
この黒鉛ですが、最初は鉛筆の芯と同じく安全な炭素から構成されています。
しかし炭素は原子炉の放射線に長時間晒されている間に、放射性を持つ炭素14という放射性同位体に変化。さらに数万年に渡って放射線を放出する核廃棄物となってしまうのです。
ところが、NDB社の研究者たちには、この数万年に渡る活発な活動を続ける炭素14が厄介なゴミではなく、有望かつクリーンなエネルギー源に見えました。
というのも、炭素14は放射線を放つ一方で、崩壊後は窒素と反ニュートリノと電子という3つの無害な成分に分解されるからです。
もしこの時、発生した電子を捕らえて集めることができれば、炭素14は半永久的に電気の供給源になれるはずです。
ただ原子炉から持ち出してきたままの状態(黒鉛)では不純物が多く十分に電子を取り出すことはできませんでした。
そこで研究者たちは遠心分離機を使って不純物を取り除き、さらに結晶状態を黒鉛からダイヤモンドに変換してみました。
その結果は、研究者たちの狙いが的中したのです。