サメが軟骨を選んだ理由とは?
一方で研究チームは、サンプルが一つしか見つかっていないため、過剰な解釈をしないよう慎重を期しています。しかし、もしこれが真実なら、サメは硬骨を発達させた祖先から再び軟骨骨格にシフトしたことになります。
ブラゾー博士は、これについて、「サメが硬骨化を捨てたのであれば、それは進化的な適応の可能性が高い」と指摘します。
サメには、のちの硬骨魚類で発達した鰾(ひょう)、いわゆる浮力を生み出す「浮き袋」を持っていません。骨が丈夫で重い硬骨魚には浮き袋が必要です。

しかし、サメの軟骨は、硬骨の半分ほどの骨密度しかなく、非常に軽いので水中での俊敏性や機動性が格段に上がります。また、浮き袋がないので、海底や深海を這うように泳ぐことも可能です。
そのため、サメの狩りの範囲は非常に広くなり、結果的に4億年前から現在にいたるまで海の頂点捕食者として繁栄することになります。
もしサメが、この未来を見越して軟骨骨格を選んだとすれば、彼らは大きな賭けに勝ったと言えるでしょう。