ネナシカズラは宿主の開花シグナルを盗聴し同期する
研究チームによって行われた最初の実験では、1種のネナシカズラを3種の異なる宿主に寄生させ、それぞれの開花時期を観察しました。
彼らの予想どおり、宿主はそれぞれ異なる時期に開花しました。そして各寄生パートナーも自身の宿主と同期してそれぞれ別の時期に開花したとのこと。
ネナシカズラの同期開花は実験でも証明されたのです。
続いて同期方法の調査が行われました。研究チームが焦点を当てたのは植物の開花シグナルであるFTタンパク質です。
実験では、FTタンパク質を生成しない遺伝子操作された宿主が用意されました。そしてこれにネナシカズラを寄生させたところ、ネナシカズラは開花しなかったのです。
また次の実験ではFTタンパク質に蛍光タンパク質を付着させ観察し、ネナシカズラの開花遺伝子との相互作用を確認することもできました。
ネナシカズラは宿主のFTタンパク質の動きを盗聴し、開花タイミングを同期させていたのです。
この新しい発見に対して、バージニア工科大学の植物学者ジェームズ・ウェストウッド氏は「ネナシカズラと宿主植物の同期が、この論文のように明確に示されたことは1度もありません」と述べました。
このように寄生植物の巧妙な盗聴テクニックは、世界中の植物学者を驚かせており、更なる調査が望まれています。