ネナシカズラは宿主の開花タイミングを狙っている
通常、植物は開花時に多くのエネルギーを使用し、たくさんの種子を生成できるようにします。
ネナシカズラが目をつけたのが、この宿主の開花プロセスに目をつけています。たくさんの養分が巡っている開花プロセス時に自分も開花させることで、自身の開花に必要な多くの養分を得ようとするのです。
しかし、ここで疑問が生じます。ネナシカズラは「どのように宿主の開花時期を知るのか?」という点です。
通常の植物は開花の適切な時期を認識するために、葉をセンサーとして使用しています。適切な環境になると葉でFTタンパク質(FLOWERING LOCUS T protein)が生成され芽に移動することで、開花を誘導するのです。
これはつまり開花時期が植物の種類・環境・個体差によって大きく変わってくることを意味します。ネナシカズラが開花を同期させるのは困難なはずです。
もしネナシカズラが宿主よりも早く開花してしまうと、得られる養分が少なく大きな成長が見込めません。種子も少なくなってしまうでしょう。
逆に開花が宿主よりも遅くなっても、その宿主が既に養分を使い果たしていたり枯れていたりするため、十分な種子生産を望めません。
つまり、ネナシカズラは「宿主と同時に開花する」ための何らかの秘密を持っているのです。そして今回の研究で、その秘密が明らかになりました。