2600年前の文字を筆跡鑑定
筆跡というのは、無意識の癖のパターンからなります。
この筆跡の癖は人それぞれであり、2人の人がまったく同じ癖を持つことはないというルールに基づいているのが、筆跡鑑定です。
研究チームは、18の碑文について、最新の画像処理技術と機械学習、および専門家の筆跡鑑定から、文字の識別を行いました。その結果、最低でも12人の書き手の存在が特定されています。
内容は「食料の輸送」から「兵士の移動」まで
オストラコンに記された内容には、「パンやワイン、油、小麦粉を送ってほしい」という日常的な雑事から、近隣の要塞とのやり取り、ユダヤ高官からテルアラド要塞への命令などが見つかっています。
テルアラド遺跡は、かつてユダ王国の南の国境に位置した軍事基地であり、常時20〜30名の兵士が駐在していました。
碑文には、「キッティイム(Kittiyim)」と呼ばれる部隊の名前が頻出し、食料供給や兵士の移動は彼らに向けての内容と思われます。
また、筆跡鑑定のおかげで、少なくとも4人の異なるユダヤ高官が識別されており、それぞれ交代で任に就いていたのかもしれません。