顔に惹きつけられる理由は「親子の絆説」に疑問
人間だけでなく、親に育てられる多くの動物は3点からなる顔の模式図に引き寄せられる性質を持っています。
これまで、この顔型に対する親和性は親子の絆を維持するために動物が身につけた、愛の生存戦略だと考えられてきました。
しかしイギリス、ロンドン大学クイーン・メアリー校のヴェルサーチ氏は、この如何にも心温まる説に、ふと直感的な疑問を感じました。
顔型への親和性は、確かに親子の絆を維持する方法であるとも解釈できますが、親以外の動物全般に注意を向けるための、認識システムである可能性も十分に考えられたからです。
そこでヴェルサーチ氏は、親の保護を受けずに育ち、同族同士との接触も嫌う、孤立を好むカメに3点からなる顔型をみせる実験を思いつきました。
もし顔型への親和性が親子の絆の獲得によって生じた能力ならば、産まれてから死ぬまで親の顔を一度もみないカメには、顔への親和性は不要な能力のはずです。
親子の絆が存在しないカメは、いったいどんな反応を示したのでしょうか?