宇宙にちらばる元素の起源
ビッグバンから始まった宇宙には最初水素しか存在しませんでした。
やがて水素は、密度の差から重力を生み出し、集まって核融合で輝く恒星を作り出します。
恒星ではより重い元素のヘリウムやリチウム、さらに重い元素が生成されていきました。
しかし、星の核融合には限界があり、鉄より重い元素は生み出せません。核融合は通常エネルギーを発生させますが、鉄より重い元素の合成では、逆にエネルギーを消費してしまうためです。
では鉄より重い元素はどうやって生まれるのでしょう?
それはr過程と呼ばれる高速で中性子を捕獲する現象によって生成されます。中性子はベータ崩壊などによって陽子に変わるので、核融合以外の方法で重い元素が誕生していくのです。
ただr過程を起こすには、豊富な中性子が必要で、中性子を提供するためにはかなり高エネルギーの爆発が必要になります。しかもそれが瞬間的に起きる必要があるのです。
r過程は超新星でも発生しますが、もっとも有力な候補と考えられているのが、中性子星の衝突です。
これについては、さほど異論はないのですが、新たな研究が明らかにしたのは、その発生頻度です。
研究チームはこれまでの宇宙の観測データを分析し、中性子星の衝突が起きる頻度を計算しましたが、それは現在宇宙に存在する金などの重元素の推定量を生み出すのにまるで足りなかったのです。