もっとも地球の近くで見つかった潮汐破壊現象
チームが研究した潮汐破壊現象は「AT2019qiz」と名付けられています。
この現象は地球から約2億1500万光年離れた銀河の超大質量ブラックホール近くで発見され、飲み込まれた星の断末魔とも言える光の爆発は、ホスト銀河を上回るほど強力で明るいものでした。
2億1500万光年という距離は、これまで観測された潮汐破壊現象の中でもっとも地球に近い位置です。
「AT2019qiz」は星が引き裂かれた直後に発見されました。そのため、地球の多くの望遠鏡がそのポイントに素早く向けられ、先ほど述べた潮汐破壊現象を覆い隠す塵が吹き飛ばされる観測チャンスを捉えることができたのです。
場所はエリダヌス座にある渦巻銀河で、星が引き裂かれる爆発の光度が大きくなり、やがて消えていく6カ月もの間、観測が続けられました。
この観測では、電波波長、可視光波長、X線、紫外線などさまざまな波長で広範な観測が行われ、ブラックホールに星が飲み込まれるときに起きる詳細な様子が明らかになったのです。