沈殿タンクを貯水池に作った
以前ナゾロジーでも紹介した同大学の研究では、ティカルが深刻な水源の汚染によって滅びた可能性が指摘されています。
ティカルの貯水池にはアオコの原因となるシアノバクテリアの発生した痕跡や、水銀による毒物の汚染が確認されました。
水銀汚染はマヤの寺院を飾る漆喰や壁画に使用された辰砂(しんしゃ)を原料とした顔料が原因だったと考えられます。
しかし、この研究調査ではコリエンタール貯水池から、汚染物質は検出されていませんでした。
そして、そのコリエンタール貯水池には今回報告されている浄水システムの痕跡が見つかっているのです。
飲料水として使用されるような水の品質管理を古代文明がどのように行っていたかは、これまでも難しい問題として扱われてきました。
今回の発見はその方法を説明する可能性があります。
ただ、この発見は状況証拠に過ぎず、絶対的な証拠とは言えません。ここから1000年以上前の文明の生活を再構築することはかなり難しい作業になるでしょう。
研究チームが次に解明したいのは、この濾過システムが古代マヤ文明全体にどれほど普及していたかという問題です。
ティカルは水の汚染によって滅びたのは間違いないでしょう。しかし彼らは深刻な貯水池の害を防ぐ方法を知っていました。これらがどのように関連していくのかは、興味深いテーマです。
古代マヤ文明は、同時代のギリシャ、ローマ、インド、中国のような技術を持っていなかったと研究者たちは見ています。しかし、水の管理についてマヤ文明は何千年も先を行っていた可能性があるのです。