他者に管理された「よりよい」選択

今回の研究によって、これまでブラックボックスとされてきた脳の「選択」を、電流によって制御できることがはじめて明らかになりました。
脳は生体材料で構成された巨大な電気回路であり、不正な電流が家電製品にエラーを起こさせるように、脳も外部から流れ込む電流に影響され、最終的な選択結果に誤作動を起こしていたのです。
研究を指揮したスキオッパ氏は、今回の研究成果は、人間にも適応可能だと述べています。
サルと人間の選択システムは極めて似ており、レストランのメニューといった小さな選択から投資や結婚相手の選別といった大きな選択の根底にも、サルと同様の選択回路が存在すると考えられているのです。
選択の制御は、医療分野での利用も期待されます。
統合失調症やうつ病、発達障害などを患っている患者は、時に望ましくない選択を行ってしまう傾向があります。
しかし他者による選択の制御を受け入れれば、そのような望ましくない選択を回避することが可能となり、よりよい人生を送れるでしょう。
また今回の研究では脳に直接埋め込んだ電極から電流を流しましたが、将来的には磁気の流れを利用した遠隔操作により、あらゆる個人の脳内の電流に介入できる日がくるかもしれません。
全ての人間にとって望ましい選択を行える日が近いのではないでしょうか。