アッシリアの石版
アッシリアの石版 / Credit: British Museum
history archeology

「殺した相手の幽霊が見える」PTSDの最初の記録が”3000年前の粘土板”に記録されていた (2/2)

2020.11.04 Wednesday

前ページ「殺した相手の幽霊が見える」、古代兵士のPTSDとは

<

1

2

>

アッシリア兵は1年置きに戦場へ送られた?

これまでの研究で、アッシリア王朝に入隊した兵士たちは、最初の1年間を軍事訓練に当てていたことがわかっています。

訓練には、戦闘術の修得のほかに、王朝のための道路や橋、その他インフラ設備の建設のような労働も含まれていたようです。

それを終えた兵士は1年間戦場に送られ、無事に帰ってくることができれば、1年間家族のもとに帰ることを許されました。しかし、休暇が終われば、再び戦場に派遣され、この1年置きのサイクルを延々と繰り返します。

その中で、多くの兵士が心に深い傷を負ったと見られます。

アッシリアの宮殿を飾っていたアッシュルバニパル王の彫刻絵
アッシリアの宮殿を飾っていたアッシュルバニパル王の彫刻絵 / Credit: ja.wikipedia

ヒューズ氏は「戦場では常に、無数の剣や槍、頭上から降りそそぐ巨岩や弓矢の雨にさらされていました。その上、今日のような医療技術もなかったため、外傷による死亡率も高かったはずです。

そうした死の危険性や仲間の死を目の前にして、PTSDに陥った兵士は数え切れないほどいたでしょう」と指摘します。

古文書のみを頼りにPTSDと診断するのは困難ですが、それでも人類が同種間の争いを初めて以来、心理的トラウマが兵士たちにつきまとったのは確かでしょう。

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!