アッシリア兵は1年置きに戦場へ送られた?
これまでの研究で、アッシリア王朝に入隊した兵士たちは、最初の1年間を軍事訓練に当てていたことがわかっています。
訓練には、戦闘術の修得のほかに、王朝のための道路や橋、その他インフラ設備の建設のような労働も含まれていたようです。
それを終えた兵士は1年間戦場に送られ、無事に帰ってくることができれば、1年間家族のもとに帰ることを許されました。しかし、休暇が終われば、再び戦場に派遣され、この1年置きのサイクルを延々と繰り返します。
その中で、多くの兵士が心に深い傷を負ったと見られます。
ヒューズ氏は「戦場では常に、無数の剣や槍、頭上から降りそそぐ巨岩や弓矢の雨にさらされていました。その上、今日のような医療技術もなかったため、外傷による死亡率も高かったはずです。
そうした死の危険性や仲間の死を目の前にして、PTSDに陥った兵士は数え切れないほどいたでしょう」と指摘します。
古文書のみを頼りにPTSDと診断するのは困難ですが、それでも人類が同種間の争いを初めて以来、心理的トラウマが兵士たちにつきまとったのは確かでしょう。