女性の狩猟民はたくさん存在した⁈
ハース氏は、これを受け「この女性だけが優秀なため狩猟民に抜擢されたのか、それとも女性の狩猟民は他にもたくさんいたのか、という疑問が生じた」といいます。
そこでチームは、これまでに南北アメリカで出土した同時代の遺骨をすべて調査したところ、107ヶ所の埋葬地から429体の遺骨を確認。
そのうち、27名が狩猟民と判明し、15人が男性、11人が女性(今回の女性も含む)と特定されました。統計分析では、当時の南北アメリカ狩猟民の30〜50%は女性だったと推定されています。
また、狩猟対象となった動物は、ラマやアルパカの近縁種で、南米固有の「ビクーニャ」という動物でした。狩猟民たちは、尖頭器をビクーニャ目がけて投げて仕留めていたと見られます。
ハース氏は「初期社会では、ジェンダーによる分業が現代よりずっと少なく、狩猟班に女性が参加することは珍しくなかったかもしれない」と述べました。
分業はむしろ性別より年齢で決まった可能性が高いです。
ある程度の年齢に達した男女は狩猟に行き、幼い子どもや年長者は採集に出かけていたのかもしれません。