耳鳴りの重症度を87%の精度で識別
チームは今回、慢性的な耳鳴り患者25名を対象にfNIRS信号を記録し、機械学習アルゴリズムを用いて、重症度別の分類を試みました。
健康な対照群21名にも同様の測定をし、耳鳴り患者と比較しています。
比較の結果、耳鳴りを持つ患者のみ、安静時に脳の側頭、前頭、後頭の領域間で強い接続性の変化を示しました。
これは機械学習アルゴリズムが78%の精度で耳鳴りを客観的に測定するのに十分な強度です。さらに、重症度別の分類には87%の精度で成功しています。
また、脳機能イメージングでは、耳鳴りの持続時間とストレスに起因する「側頭-前頭葉の接続性」と、音の強度に起因する「側頭-後頭葉の接続性」が明らかにされました。
これは耳鳴りの強度とストレスが脳内で別々に測定できることを意味します。
それから、耳鳴りの重症度が高い患者は、かなり高い確率でうつ病や不安症を患っており、知覚される音の強度とストレスも大きいようです。
このように、耳鳴りを客観的に評価するツールを提供することで、臨床医や患者に大きな利益をもたらします。
その一方で、これは耳鳴りを診断する一方法にすぎず、治療法の発見にはさらなる研究が必要です。
しかし、fNIRSを利用して、耳鳴りの根底にあるメカニズムを理解できれば、新たな治療法も確立できるでしょう。