超解像顕微鏡法を使用して作成されたクロマチンの多色画像
超解像顕微鏡法を使用して作成されたクロマチンの多色画像 / Credit:Xiaowei Zhuang lab
biology

染色体はX字型ではなく全く異なる形をしていた

2020.11.22 Sunday

生物を勉強したことがある人なら、X字型の染色体の絵を見たことはないでしょうか?

『Cell』に掲載された論文によると、絵ではない分裂時以外の染色体の姿が撮影されたとのこと。

染色体の真の姿とは、いったいどんな形なのでしょうか。

>参照元はこちら(英文)

Tech and Science Post https://techandsciencepost.com/news/science/chromosomes-look-different-than-you-think/

よく知られているX字型は染色体の一時的な形態に過ぎない

染色体は核内全体で複雑な展開をしている
染色体は核内全体で複雑な展開をしている / Credit:Cell

多くの教科書では、染体はソーセージが連なったX字型の構造として描かれています。

しかし馴染みのあるX字型の構造が現れるのは細胞分裂の間際だけであり、大部分の時間、染色体は別の姿で存在しています。

ですが、そんな通常時の染色体がどのような姿であるのかは、これまでわかっていませんでした。

DNAを書き換え、操作することはできても、人類はまだ何番の染色体が核の中のどこらへんで、どのような形状をとっているのか知らなかったのです。

ネックとなっていたのは、1本1本の染色体を識別する方法でした。

既存の検出方法では、染色体全体を染め上げることはできても、特定の染色体(例えば21番染色体のみ)を狙って識別することはできませんでした。

しかし今回、ハワードヒューズ医学研究所の研究者たちは、染色体の各所に、条件によって蛍光物質を生産する遺伝子を挿入し、染色体の形状をなぞるように3つずつ順番に発光させていったのです。

そして得られた無数の点を繋ぎ合わせることで、46本の全ての染色体の形状を浮かび上がらせることに成功します。

次ページ明らかになった染色体の動的な構造

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