よく知られているX字型は染色体の一時的な形態に過ぎない
多くの教科書では、染色体はソーセージが連なったX字型の構造として描かれています。
しかし馴染みのあるX字型の構造が現れるのは細胞分裂の間際だけであり、大部分の時間、染色体は別の姿で存在しています。
ですが、そんな通常時の染色体がどのような姿であるのかは、これまでわかっていませんでした。
DNAを書き換え、操作することはできても、人類はまだ何番の染色体が核の中のどこらへんで、どのような形状をとっているのか知らなかったのです。
ネックとなっていたのは、1本1本の染色体を識別する方法でした。
既存の検出方法では、染色体全体を染め上げることはできても、特定の染色体(例えば21番染色体のみ)を狙って識別することはできませんでした。
しかし今回、ハワードヒューズ医学研究所の研究者たちは、染色体の各所に、条件によって蛍光物質を生産する遺伝子を挿入し、染色体の形状をなぞるように3つずつ順番に発光させていったのです。
そして得られた無数の点を繋ぎ合わせることで、46本の全ての染色体の形状を浮かび上がらせることに成功します。