ミールワームが発泡スチロールタワーをのぼる
ミールワームが発泡スチロールタワーをのぼる / Credit:yong ju lee architecture
geoscience

「発泡スチロールを食べるムシ」がプラスチック問題を解決する、と建築家が提案【ムシ注意】

2020.12.06 Sunday

プラスチック製品の廃棄による環境や動物への影響は、世界の課題となってきました。

しかし2015年、アメリカ・スタンフォード大学土木・環境工学部のウェイミン・ウー氏ら研究チームが、一般的なミールワームがポリスチレンを食べ消化できると発表

こうした進展を受けて、韓国の建築家ヨン・ジュリー氏はミールワームが発砲スチロールを食べる様子を記録し、その残骸でタワーを作成しました。

>参照元はこちら(英文)

designboom https://www.designboom.com/architecture/worm-skyscraper-yong-ju-lee-solution-polystyrene-waste-11-24-2020/

ミールワームは発泡スチロールを食べ、分子レベルに分解できる

現代では、生分解性(微生物により分子レベルに分解できる)プラスチックが存在しています。しかし、世界中で分解できないプラスチックも数多く生産されています。特に発泡スチロールは非生分解性であり、環境への影響が懸念されてきました。

ところが2015年、ウー氏らの研究によってゴミムシダマシ科の幼であるミールワームが、非生分解性プラスチックと考えられてきたポリスチレンを分解できると報告。

発泡スチロールを食べ分解するミールワームたち
発泡スチロールを食べ分解するミールワームたち / Credit:stanford :モザイク無しはこちら

発泡スチロールは気泡を含ませたポリスチレンですが、ミールワームたちはこれを腸内バクテリアによって分子レベルにまで分解することができるのです。

実際、研究室では100匹のミールワームが1日あたり34~39mgの発泡スチロールを食べ、他の食糧と同じようにその内の約半分を二酸化炭素に変換しました。

そして24時間以内に残りのプラスチックを分子レベルにまで分解し、糞として排出。しかもこの糞は作物の土壌として使用しても問題ないとのこと。

さらに発泡スチロールを与え続けたミールワームは、通常のエサを食べたときと同じくらい健康であるため、長期的にプラスチックを分解させることも可能でしょう。

次ページミールワームの分解力を表現した「発泡スチロールの廃墟タワー」

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