寒い場所ほど「像の肥満度」が高かった!
ヴィーナス像の制作年代は約3万8000〜1万4000年前で、多くは約2万6000〜2万1000年前の間です。
「不思議なのは、この時代の人々に広く肥満体型が知られていたことだ」と研究主任のリチャード・ジョンソン氏は指摘します。
肥満は21世紀にとくに顕著になったものですが、狩猟・採集、移住生活のため常に動いていた古代人には、ほとんど見られなかったはずです。
それなのにわざわざ肥満体型の像をつくったのはなぜでしょうか。
研究チームは、この疑問を解決するべく、数十体のヴィーナス像を対象に「ヒップ-ウエスト比」と「肩幅-ウエスト比」を測定しました。
その結果を、像が発見された場所(とくに、氷河までの距離に注目して)比較すると、面白い相関性が見つかっています。
ヴィーナス像の肥満度は、氷河からの距離が遠くなるほど低くなり、近くなるほど高くなっていたのです。
加えて、制作年代と比較すると、肥満度は氷河が前進(南下)していた時代に最大で、温暖化により後退(北上)した時代に減少していました。
その理由を次に見ていきましょう。