氷河時代は「太った女性」が理想的だった
地球の最終氷期は、7万年前にはじまり、4万8000年前に一度暖かくなって、2万年前に最寒期をむかえ、1万年前までつづきました。
ここにヴィーナス像の制作年代を当てはめてみると、「肥満度の高まり」と「気温の低下」が見事に一致するのです。
温暖な時期には野生動物や野草も豊富ですが、氷河が進行すると食糧難に陥り、人々の死亡率もより高まったと思われます。
しかし、脂肪分の多い肥満体型の女性は、体温に保持にすぐれ、妊娠や出産、乳児の保温にもずっと長けていたでしょう。
ここからジョンソン氏は「ふくよかなヴィーナス像は、過酷な冬に直面したときの”生存のシンボル”であり、さらに、女性に肥満体型を推進するイデオロギー的ツールとして使われていた」と結論します。
氷河期にあっては、スラリと痩せているより、ふっくらと太っている方が生存・出産率がはるかに高く、理想的な体型だったのでしょう。
女性が生き残ることで集団の繁栄にも繋がります。
ヴィーナス像は「この体型を目指すように」と母から娘へ受け継がれていったのかもしれません。