ゲームに登場するステルス迷彩。
ゲームに登場するステルス迷彩。 / ©2015 Konami Digital Entertainment
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タコの擬態を再現した「熱光学迷彩」の人工皮膚が開発される!

2020.12.08 Tuesday

可視スペクトルや赤外線(IR)を偽装する熱光学迷彩は、SF作品のアニメやゲームではもはやおなじみの技術ですが、現実世界でそれを実現させようというさまざまな研究が存在しています。

科学雑誌『Advanced FunctionalMaterials』で発表された新しい研究では、頭足類(タコやイカ)の皮膚に見られる優れたカモフラージュ能力を熱電素子を使って再現し、肌に貼り付けて使える熱光学迷彩を開発したと報告しています。

現代戦は、思いの外、SFの世界に近づいているのかもしれません。

>参照元はこちら(英文)

defenseone https://www.defenseone.com/technology/2020/12/artificial-skin-may-one-day-make-troops-invisible-even-heat-sensors/170523/ , eurekalert https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-12/snu-aca120220.php

熱電素子を利用した電子人工皮膚

研究は頭足類の持つ優れた偽装能力を参考にしている。
研究は頭足類の持つ優れた偽装能力を参考にしている。 / Credit:Jinwoo Lee et al.,Advanced FunctionalMaterials(2020)

韓国ソウル大学の研究チームが発表した学迷彩のデバイスは、頭足類(タコイカ)の皮膚が持つ擬態能力をヒントに開発されました

このデバイスは、電流の流れる向きによって、吸熱と発熱を行うことが可能な熱電素子を利用しています。

デバイスにはマイクロカメラが接続されていて周辺環境をスキャンしており、その情報を元にリアルタイムに背景に合わせた熱の偽装を行うといいます。

背景に合わせた熱の偽装を行うデバイス。
背景に合わせた熱の偽装を行うデバイス。 / Credit:Jinwoo Lee et al.,Advanced FunctionalMaterials(2020)

このデバイスは柔軟性・伸縮性のある素材で作られていて肌に直接貼り付けることで、人工皮膚のように利用できるのだそうです。

また、このデバイスにはサーモクロミック液晶と呼ばれる熱で反射率を変化させを制御することのできる特殊な液晶が表面に組み込まれています

そのため、背景に合わせて光学的な偽装をすることも可能にしています。

温度で表示色を変化させるサーモクロミック液晶(左)。背景に合わせて色を変化させるデバイスの様子(右)。
温度で表示色を変化させるサーモクロミック液晶(左)。背景に合わせて色を変化させるデバイスの様子(右)。 / Credit:Jinwoo Lee et al.,Advanced FunctionalMaterials(2020)

デバイス自体はピクセル化されていて、かなり細かい範囲でこれらの色や温度の偽装を行うことが可能です。

これは確かに遠目から見れば、そこにいることがわからないかもしれません。

次ページ熱光学迷彩はかなり実現に近づいているのか?

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