マウスの脳スキャンは8カ月かかる。人間の脳はその1000万倍の労力が必要!?
心や精神のデジタル化を実現させるためには、最初に脳の働きを正確にスキャンしなければいけません。
ところが脳では約1000億個のニューロンが互いに接続しあい、電気信号を毎秒1000回も送っています。

しかも脳にはニューロンだけなく、様々な役割を担った多種多様な細胞が存在しています。
そのため、科学者たちは心の働きを正確に把握することさえできていません。
もちろん、脳スキャンを現実のものとするための実際的な取り組みは行われています。
2019年にはマウスの脳を2万5000枚にスライスしてその画像をスキャンしました。

その結果、ニューロン10万個とシナプス1000万個、さらに4kmの神経線維を解析することに成功。
ただし、このために5台の電子顕微鏡を5カ月使用し、1億枚以上の画像を収集する必要がありました。
さらに画像を3Dモデルに組み立てるのに3ヵ月かかり、完成したデーターセットは2ペタバイトという膨大なデータ量になったとのこと。
同じ方法を人間で行うなら、これの1000万倍の労力が必要になります。

仮に脳のスキャンが可能だったとしても、それは静的な画像に過ぎません。
心の働きを再現するには、さらにこれらがどのように働くのかという動的なデータを集め、それをコンピューター内で再現できなければいけないのです。
現在では、心や精神をデジタル化してコンピューターにアップロードすることはできませんし、その見通しすら立っていません。
しかしこの分野の研究は日々続けられており、心のデジタル化に繋がらないとしても、新しい技術の開発に貢献しています。
また量子コンピューターなど、急速に進歩を遂げているコンピューターが、将来道を開く可能性はあるでしょう。