宇宙のハイウェイってなに? 裏に潜むカオスな問題
通常、惑星の軌道は、太陽と地球、太陽と火星、というように2つの天体に限定すれば比較的簡単に計算することができます。
ところが、ここに月のような3つ目の天体を加えると、もうまともな答えを導くことは無理、という複雑な問題になってしまいます。
こうした複雑系のカオスな問題は、昔から「3体問題」あるいは「多体問題」と呼ばれて恐れられています。
太陽系には8つの惑星があり、特に太陽の他に非常に巨大で影響力の強い木星が存在しています。
そんな太陽系の中を、彗星や探査機が通り抜ける場合、どういった影響を受けて軌道が変わるか考えるのは非常に難しいのです。
最近地球に帰還して話題になった「はやぶさ2」は、打ち上げ時の時刻が秒単位で決まっていたと言います。
これは1秒で打ち上げ時間がずれてしまうと、軌道計算を全部やり直さないといけなくなるためです。それくらい宇宙を移動する物体の計算は複雑で大変なのです。
しかし、そんな複雑な多体問題をシミュレーションし、探査機などが高速で太陽系を抜け出すための道筋を見つけたというのが、今回発表された宇宙ハイウェイの研究なのです。