エアロゾルをブロックする仕組み
今回開発されたヘルメットは、厚さ1ミリメートルの透明なプラスチックでできており、頭頂部には空気ろ過フィルターを備えたエントツがそびえ立っています。
実際に使う時には、頭頂部のエントツに掃除機のように空気を吸い込む機器を接続します。
するとヘルメット内部で空気圧が急速に低下し、口から頭頂部へ勢いよく空気が流れるようになります。
口の部分には一切のフィルターはつけられていませんが、外側から内側へ向かう空気の流れにより、着用者が吐き出す息やエアロゾルを回収可能となるのです。
上の図はコンピューターモデルを使用して、咳によって吐き出された様々なサイズの液滴が、ヘルメット内に吸引される様子を示しています。
シミュレーションの結果、吐きだされた液滴の99.6%を回収できることが示されました。
取りこぼしてしまった0.04%の液滴(上図の青と黄緑の粒子)は、サイズの大きな重い液滴たちでしたが、これら大きな液滴は飛距離が短く、遠くに拡散する前に地面に落ちるため、直接の感染リスクにはつながりにくいとのこと。
それでも気になる場合は、真空圧を上げることで、対応可能になります。
今回の論文の筆頭著者となった研究者は、このヘルメットをまず歯科医や耳鼻科医などの治療現場で普及させることを目指すと述べました。
口の部分に遮るものが存在しないこのヘルメットは、歯や鼻の治療を妨げないまま、医師や看護師を感染から守ることができるのです。