人工角膜手術は困難だが、需要が大きい
世界保健機関(WHO)によると、角膜の損傷や病気で新たに失明する人は毎年約200万人にものぼり、現在、合計3000万もの人が失明したままです。
一般的な解決方法は死者から角膜を採取して用いる「角膜移植」ですが、必要数を満たすことはできていません。
最近の報告によると、実際に移植できているのは、移植を必要としている人の70分の1とのこと。
国によっても差はあり、中国では毎年200万人の患者が角膜移植を待っていますが、移植されるのは数千人だけです。
もちろん、これまでにも人工角膜移植は行われてきました。しかしこの手術は非常に難しく、通常の角膜移植ではどうしても拒絶反応が起こってしまう場合に、最終手段として採用されます。
実際、日本でも人工角膜移植が可能な施設は限られているようです。
また、ドナーから角膜を採取することにはウイルス感染のリスクがあり、角膜サンプル自体にウイルスの陽性反応があるかもしれません。
こうした背景にあって、感染のおそれがなく、容易かつ安全な「人工角膜移植」が求められてきました。