過剰競争は恋愛でもマイナスになる
現代の社会学にとって、計算とシミュレーションは重要な手段になっています。
研究者たちは競争説を証明するために女性同士の「競争」と男性からの「投資」をシミュレーション上で再現することにしました。
このシミュレーション世界の女性たちは互いに恋のライバルを、悪い噂などで攻撃して魅力値を低下させるとともに、男性からの貢ぎ物を獲得しながら恋愛成就・妊娠・出産を目指すようにプログラムされています。
シミュレーションのを行った結果、女性の排卵日が周囲に明らかな場合、予想通り熾烈な恋の妨害合戦が展開されました。
そして、お互いの妨害が激しくなるにつれて、全体的な恋愛成就の成功率は著しく低下し、子供もあまり生まれなくなります。
互いの脚を引っ張り合った結果、自滅してしまったのです。
一方で、女性の排卵日が本人でも不明な世界では、違う展開をみせました。
妨害すべき時間が均等に分散してしまったために、ライバル同士の戦いが非常にマイルドになったのです。
結果、足の引っ張り合いで自滅する可能性は劇的に低下し、子供の数が増えていきました。
ですが最も興味深かったのは、排卵日が周囲に明確な場合でも不明な場合でも、投資説には計算上、利点がなかったことがあげられます。
さらに意外なことに、シミュレーションの設定を変更し、ライバル同士の攻撃(恋愛の妨害)を禁じた場合でも、男性による投資効果はあらわれませんでした。
この結果は、ある程度安定した環境では、明確な排卵日の喪失が、女性同士の社会的関係が主因となって引き起こされたことを示します。