恋の情報戦と現代人の排卵感知能力
今回の研究により、人間が明確な発情期や排卵日を失った原因に一石が投じられました。
計算の結果、明確な発情期や排卵日の喪失は女性同士の激しい妨害合戦を防ぎ、全体的な恋愛成就率の成功と子孫繁栄の助けになったことが示されたのです。
ただ生殖における情報の真空地帯がうまれた場合、いち早くそれを埋めた者、つまり排卵日を感知する能力を得た者が多大な恩恵を受けるようになるのも事実。
排卵日について扱った他の研究では、同じ女性の排卵日にある日と妊娠しにくい日を写した2枚の写真を160人ぶんを用意してそれぞれを合成し、どちらのほうに男性がより魅力を感じるかを試す実験が行われました。
結果、大多数の男性は排卵日に撮られた女性の写真(左)を魅力的と判断しました。
一方、同様に撮られた2枚の写真を女性に評価してもらった結果は、異なりました。
男性とは異なり、女性たちは排卵日にある女性と妊娠しにくい日にある女性を、同じ比率で魅力的と答えたのです。
つまり魅力というフィルターでは、女性は女性の排卵日を見抜けませんでした。
しかし自分の恋のライバルになったとして、脅威を感じる方はどちらか? との問いになると全く異なる反応をみせました。
多くの女性たちは2枚の写真のなかから的確に排卵日に撮影したものを選んだとのこと。
これらの結果を総合すると、女性の排卵日は女性同士の競争を緩和するためにいったんは隠されたものの、現在では排卵日を見抜ける能力をもった男女が増えたことを示しているのかもしれません。
そして男性は女性の排卵日に対して好意的に、女性は他の女性の排卵日に否定的に感じるようになっていたのです。
男女の進化は、どこまでいってもイタチごっこなのかもしれませんね。