世界最小だけど、巨大なペニスをもっていた
新種が見つかったのは、マダガスカル北部に位置する熱帯雨林です。
マダガスカルは、世界最小のヒメカメレオン属(Brookesia)の分布場所として有名で、他にも数種類のヒメカメレオンが生息しています。
その中でも、新種のナノヒメカメレオンは断トツの小ささです(下図の星で発見)。
発見されたオスの個体は、鼻先〜尻尾の付け根までが13.5ミリ、尻尾を含めてもわずか21.6ミリを記録しています。
メスはそれより大きく、鼻先〜尻尾の付け根までが19.2ミリ、尻尾を含めると28.9ミリでした。
人の指先にチョコンと乗せられるほどの小ささです。
研究チームのマーク・シェルツ氏は「サイズにくわえ、褐色の体が枯れ枝に同化しているため、発見には非常に骨が折れました」と話します。
コツは「目の集中力と忍耐力」だそうですが、それでも厳しいので、ヒメカメレオンの捜索に熟達している地元ガイドの方に協力を仰いだとのことです。
オスの個体を詳しく調べてみると、驚くほど大きな生殖器をもっていることが判明しました。
カメレオンは「半陰茎(ヘミペニス、hemipenis)」と呼ばれる生殖器をもち、ヘビやトカゲなどの有鱗目に特有のものです。
半陰茎は、普通のペニスとは違って左右に分かれ、普段は保護のため体内に隠しており、交尾のときに体外に出します。
ヒメカメレオンの半陰茎を測定した結果、なんと全長の約18.5%を占めていました。
これほど立派な生殖器に恵まれている理由を定かでありませんが、メスの体がオスより大きいので、繁殖を成功させるために長くなったのではないかと推測されています。
マダガスカルは、地球上でもトップクラスの生物多様性を誇り、ヒメカメレオン以外にも次々と新種が記録されています。
研究チームは、これほどの多様性を生み出したマダガスカルの生態系の秘密を解明すべく、調査を続けていく予定です。