磁力でマウスを遠隔操作する
近年の急速なロボット工学の進歩により、さまざまな4足歩行の小型ロボットが作られています。
しかしどんなに最先端のロボットであっても、生きているマウスのような柔軟な動きはできません。
一方で、発展を続ける脳科学の分野では神経回路に干渉することで、人間やサル、マウスなどの体や精神を制御することが可能になっています。
そのため完璧な脳制御ができれば理論上、柔軟な生物の体をラジコンのように運用することもできるでしょう。
ただ既存の制御方法は、脳に電極や光ファイバーを直接差し込む必要があり、生体にとって負担が大きいものでした。
そこで今回、研究者たちは新たな制御方法として、磁石を使うことにしました。
注射によりマウスの運動野に、磁力に反応して回転するナノサイズの磁石(直径0.0005mm)が無数にちりばめられます。
同時に、圧力に反応して脳細胞を刺激する仕組みを、無害なウイルスを使ってマウスの脳細胞に導入しました。
こうすることで、磁力に反応して回転する磁石と、回転の圧力を感知して脳細胞を刺激する仕組みがマウスの脳内に「後天的に」構築されました。
仕組みができれば、次はいよいよ実際に磁力をかける制御実験です。
マウスはどうなってしまうのでしょうか?