地球中心の新たな層
実は地球の内核には、さらに別の層が存在するのではないかという説は、数十年前から提案されていました。
ただ、この説には明確な証拠が不足していました。
そこで、今回の研究チームは特別な検索アルゴリズムを使い、国際地震センターに集められた何十年分もの地球内部を伝わる地震波の観測データと、内核に関する何千ものモデルとを照合する作業を行ったのです。
地震波は構成の異なる材料を伝わるとき、その特性を変化させます。
この調査の結果、どうも内核のさらに内側である、地下約5800kmの当たりで、鉄構造の変化を示す証拠が見つかったというのです。
これは地球のもっとも内側にあると考えられていた内核が、さらに私たちのまだ知らない未知なる層に分かれている可能性があることを示しています。
「非常にエキサイティングな発見であり、私たちは今後、教科書の記載を書き直す必要に迫られるかもしれない」
今回の研究筆頭著者であるオーストラリア国立大学(ANU)地球科学研究科のジョアン・スティーブンソン氏はそのように語っています。
この新たに発見された第2の内核層は、地球の歴史において異なる2つの冷却イベントによって形成されたことを意味しています。
しかし、まだその詳細は不明です。
宇宙の彼方よりも、人類にとって見ることの難しい場所が、地球深部の様子です。
今回の発見は、まだその可能性を示すかすかな証拠に過ぎません。確実なことがわかるのは、まだ先のことでしょう。
しかし、私たちの常識は、日々の研究によって常にアップデートされています。研究者が興奮して語るように、理科の教科書は近いうちに書き換わることになるのかもしれません。