ヒトとマウスの涙腺を培養する
近年の急速な臓器培養技術の進歩により、脳を含むさまざまな器官の人工的な培養が可能になってきました。
これら人工培養された器官は「オルガノイド」と呼ばれており、幹細胞を再プログラムし増殖させ、自然に三次元的な構造に組み上げることで形成されます。
今回、オランダのヒューブレヒト研究所の研究者たちはマウスおよびヒトの涙腺から抽出した「成体幹細胞」を培養し、1年かけてマウスとヒトの涙腺オルガノイドを作ることに成功しました。
成体幹細胞とはすでに身体の組織に存在していて、ある程度の分化能力を持っている細胞のことで、損傷組織の再生などにおいて新しい細胞を作る役割をもっています。
そのため、形成された涙腺オルガノイドは実際の涙腺を模倣した三次元的な構造を持っており、マウスやヒトの涙腺と同じ機能があると期待されます。
そこで研究者たちは、涙腺オルガノイドを実際に「泣かせて」みることにしました。