ウミガメは円を描いて泳ぐことで地磁気から正確な位置を取得している
研究チームは、ウミガメの旋回行動を調査していくなかで、この行動がナビゲーションシステムとして機能していると考えました。
そこでチームはある場所から別の場所の巣に帰るウミガメを追跡することにしました。
その結果について楢崎氏は次のように述べています。
「私が最も驚いたのは、ウミガメが、目標へのファイナルアプローチの直前など、ナビゲーションション上重要な場所で旋回行動を行なうことでした」
一匹のウミガメは1日のうちに76回、そして次の日に37回も旋回し、結果として正しい方向を選択して泳いでいたのです。
では、旋回行動が自分の位置を知るのにどのように役立つのでしょうか?
楢崎氏によると、これらの旋回行動は地磁気から正確な位置を知るのに役立つとのこと。
円を描くように泳ぐことで、周囲の磁力線の最大強度と最小強度を知ることができるのです。
さらに彼女は「何度も旋回することで取得するサンプル数を増やし、測定精度を向上させられるのかもしれません」とも述べています。
この新しい発見と予測は、「鳥類など一部の動物は地磁気を感知できる」「潜水艦は地磁気計測するときに旋回する」といった情報とも共通点があります。
さて、今回の研究では、海洋生物の一部に共通する旋回行動の理由に光が当たりました。
現段階では、旋回行動には採餌・交尾・ナビゲーションなど複数の目的があると考えられています。
今後研究チームは、海の生物たちがなぜ円を描いて泳ぐのか、その理由を生物の内部状態や環境条件に関連させてさらに深く研究する予定です。