・地磁気が弱まっていることや、弱い地域の拡大などからポールシフトが起きつつ有るという予測がある
・過去の地磁気エクスカーション(逆転に至らない地磁気の変動)をモデル化し、新たなエクスカーションを発見
・現在の地磁気の減少はポールシフトを起こすほどではないことがわかる
ポールシフトと聞くと、まるで「地軸」が移動するかのようなイメージがあるかもしれませんが、一般的には「磁極」の反転のことを指します。これまで、「このポールシフトが起きて地球が居住不可能になるのではないか」といったことが噂されてきました。
しかし、リバプール大学などが近い時期に起きた地磁気逆転(ポールシフト)にいたらなかった現象を解析した結果、地磁気逆転が起きる可能性が低いことが判明。オカルト好きにはちょっと残念な報告かもしれません…。
http://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1722110115
以前の研究では、地球の磁気が逆転しつつある可能性が予測されてきています。というのも、ここ200年に渡って地磁気が弱まってきており、そのうえ、チリからジンバブエに及ぶ南大西洋異常帯(SAA)と呼ばれる地磁気の特に弱まった地域が広がってきているからです。
研究チームは、およそ41,000年前のラチャンプと、34,000年前にモノ湖で起きた、ポールシフトが起きそうになりながらも元に戻った2つの地磁気エクスカーション(地磁気の変動)の観測結果をモデル化しました。
そのモデルから、約49,000年前と46,000年前に、強度と構造において現在の地磁気フィールドに匹敵し、今日のSAAよりもずっと強いフィールド構造があったことが明らかになりました。この現象のタイミングと強さは、宇宙線生成核種の記録で裏付けられています。これらのSAAに似たフィールド構造は、ポールシフトに近づきましたが、最終的には元の状態に戻りました。
リバプール大学の地磁気学教授、リチャード・ホームは言います。「我々が地磁気のポールシフトやエクスカーションを経験しつつ有るという推測があります。しかし、近い過去に起きた2つのエクスカーションの研究から、どちらも最近の地磁気フィールドの変化とは類似点を示さず、それゆえに、今現在『そのようなイベントが起きつつある』ということはないことを我々は示しました」
「代わりに我々の研究は、現在フィールドが弱まっている現象は、大規模なイベントを伴わずもとに戻ることを示唆します。つまり、逆転はありそうにないのです」
地磁気の強度や構造の変化は、地史を通して起こっています。ある時期、地磁気は磁気的な北と南を逆転させるほど弱まっています。ポールシフトが最後に起こったのは78万年前です。一方地磁気の逆転を伴わない地磁気エクスカーションは、もっと頻繁に起きています。
地球の磁気圏は太陽風や有害な宇宙線から地球を守っています。それはまた、人間の航行や動物の渡りに役に立つほか、電気通信や人工衛星を守っています。地磁気は地球内部の外核の溶けた鉄やニッケルが作る電流から生み出されているのです。
名前的に「天変地異が起こるんじゃないか」と思わせるポールシフトですが、そのようなイベントが起こることはしばらく無さそうです。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/2860
via: Phys Org/ translated & text by SENPAI
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