私たちは、時間を常に矢のように前へ前へと進んでいるものと感じています。
物理学者はこれを「時間の矢」という概念で考えます。そして、この一方通行の時間という概念は、人間の尺度で見た生命や物体に関しては正しいように思えます。しかし、量子の尺度では、「時間の矢」が逆転することがあり得るようです。
https://arxiv.org/abs/1711.03323
量子力学で熱力学第2法則が逆転
エアランゲン・ニュルンベルク大学の研究チームは、量子力学において熱力学第2法則が逆転することが実証されたと発表しました。この可能性については以前より理論物理学者たちが予想しており、日本でも話題にあがりました。今回の実験で、それが可能である証拠を得たことになります。
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP456335_W7A900C1000000/
「この新しい結果は、時間の矢が絶対的な概念ではなく、相対的な概念で有ることを示します。」とドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学の理論物理学者、エリック・ルッツは言います。
物理学者は、時間の矢を熱力学第2法則をつかって語ります。つまり、乱雑さ、いわゆるエントロピーは時間経過によって増加するという法則です。それを完璧に表している例は、熱の伝導です。寒い日、周りの温度が低ければ熱いコーヒーは冷めていきますよね。熱は温度の低い物の方に拡散していくもので、逆に集中するということはありません。
しかし今回の実験で、寒い日、コーヒーから熱が拡散するのとは異なり、量子粒子が熱エネルギーを冷たい粒子から追い出し温かい粒子へと転送できることが示され、第2法則が逆転することがわかりました。もし第2法則がこのように逆転できるとすると、時間の矢が逆転できるという可能性も現実味を帯びてきます。