南極大陸の山頂で見つかった奇妙な小石
南極大陸は乾燥した極寒の気候と、人類による活動がほぼないことで、隕石の残骸を調査するのに最適な環境です。
2017年から2018年にかけて行われたベルギー南極観測隊(BELAM)の遠征も、そんな南極氷原の隕石調査を行っていました。
今回の研究を発表した、現在はイギリスのケント大学で研究を行うマティアス・ヴァン・ギネケン博士の研究チームも、この遠征に同行していました。
そして、チームはアフリカの南に位置する南極クイーンモードランドのセールロンダーネ山地にあるワルスムフィエレ (Walnumfjellet)の頂上で、奇妙な鉱物粒子(凝縮球)を発見したのです。
粒子自体は直径が約100~300マイクロメートルで、非常に細かいチリに似ていましたが、顕微鏡で見ると半分以上がいくつかの小さな石が融合した状態になっていました。
そして分析の結果、粒子中には大量のニッケルが含まれていることが判明しました。ニッケルは地球の地殻にはあまり豊富に存在してはいません。
さらに粒子の組成は、C型コンドライトとして知られる小惑星の組成と一致していたのです。
これはこの粒子が地球上のものではないことを意味しています。
この粒子の発見に、ヴァン・ギネケン博士は「ビンゴ! これは素晴らしい」と興奮したそうです。
そして、この地球外粒子が、なぜこのような状態になったのか? かつて南極のこの場所で何があったのか? を知るために、チームは粒子の徹底的な化学分析を行いました。
そして、類似する粒子の報告などを調査し、元あった小惑星の数値モデルを作成したのです。