太陽光だけで汚染物質を除去できる浄水フィルター
太陽光だけで汚染物質を除去できる浄水フィルター / Credit:Xiaohui Xu
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太陽光だけで汚染物質を除去できる浄水フィルターが開発される 膨らむ「フグからインスピレーション」 (2/2)

2021.04.04 Sunday

前ページ膨らむフグからインスピレーションを得た浄水フィルター

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温度によって吸水・排水を切り替える特殊ゲルを採用

新しい浄水フィルターは、温度によって変化する特殊なゲル材料で作られています。

常温ではスポンジのように水を吸い込みますが、33℃にまで加熱されると逆に水を排出する特性があります。

ゲルは多孔質なハニカム(ハチの巣)構造をしており、それらは分子鎖でメッシュ状になっています。

特殊ゲルはハニカム構造
特殊ゲルはハニカム構造 / Credit: Rodney D. Priestley

しかもその中には水に混ざりやすい親水性領域と、水と混ざりにくい疎水性領域が存在。

常温では分子鎖は長くて柔軟性があるため、親水性の領域に水が流れ込みます。

しかし太陽が材料を温めると、疎水性の分子鎖が凝集し、逆に水を押し出すのです。

これだけでは普通のスポンジのように思えますが、ゲルは内層と外層の2つの層に包まれており、これらが汚染物質の侵入を防いでくれます。

中層は、ポリドーパミンと呼ばれる材料で、太陽光を熱に変え、重金属や有機分子を遮断する役割があります。

特殊ゲルはフィルター層の内部にある
特殊ゲルはフィルター層の内部にある / Credit: Rodney D. Priestley

そして外層はアルギン酸のフィルターです。これによって病原菌が内部のゲルに侵入するのを防ぎます。

もちろん、フィルターを通しさえすれば、水は浄化されます。しかし水をフィルター移動させるための力が必要であり、従来のろ過機では電気駆動のポンプが採用されていました。

新しいゲルフィルターはゲルの吸水力と排出力を利用しているので、太陽光以外のエネルギーを必要としません。

加えてゲル材料は低コストなため、非常に高い費用対効果を発揮します。

どんな場所でも簡単に飲料水を生み出すフィルターは、さまざまなケースで活用できるでしょう。

現在、研究チームは、この新しい技術を広く利用するための方法を模索しています。

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