環境データだけでそこにいる人のストレスを検知
そこで今回の研究チームが行ったのは、温度、湿度、照度、照明色、におい、音などの人の知覚に関わる環境データや、CO2濃度、微粒子などの室内環境データと、人間に取り付けた生体センサからの皮膚体温、心拍などの生理的データを収集して紐付けるというものでした。
この総合的に取得されたデータは、深層学習(人工知能による情報処理技術)によって、それぞれの関連性の精度をあげていきました。
そして、最終的には、接触型の生体センサを人に取り付けることなく、環境から取得されたデータだけで、室内にいる人の真敵状況を推定できるようにしたのです。
実験では、研究室で作業する10名(教員2名、学生8名)を対象に、このシステムが利用されました。
その結果、最終的には、個人のストレスや集中度合い、疲労度、快適度などを、環境データだけで80%以上の精度で推定することに成功したのです。
これは世界初の、環境を測定するだけで、そこにいる人達の心の状態を推定できるシステムといえます。
この成果は、今後ストレスの少ない働きやすい労働環境や、教育環境をサポートするためのシステム開発に貢献していくでしょう。
こうしたシステムが常に最適な環境にオフィスを調節してくれるようになれば、室内の設定温度で喧嘩することや、変なニオイが気になって作業に集中できないなんて問題も起きなくなるかもしれません。
集中できて疲れにくい環境が常に提供される、というのは、想像以上に素晴らしい世界かもしれません。