睡眠と認知症のメカニズムは謎に包まれている
ただし研究チームは、今回の結果は短時間睡眠と認知症の関連性が示されただけであり、そのメカニズムを解明したわけではないことを強調しています。
つまり統計的には、睡眠時間が短い中高年はのちに認知症になる確率が高いのですが、「なぜそうなるのか」分かっていないのです。
ですから「短時間睡眠が認知症を引き起こす」のではなく、「認知症の早期症状として睡眠障害がある」とも考えられます。
今回の研究に関与していないイギリス・ノッティンガム大学の認知症研究者トム・デニング氏は、「認知症は脳の変化に起因するので、認知症の人の睡眠パターンが乱れるのは当然のことです」と述べています。
いずれにせよ、睡眠時間が短い中高年の方は認知症に気を付けたほうがよさそうです。
同じく研究には関与していませんが、イギリスのアルツハイマー研究所の責任者サラ・イマリシオ氏は、次のように述べています。
「認知症予防の特効薬はありませんが、私たちの健康管理でリスクを減らすことは可能です」
十分な睡眠をとり、禁煙し、暴飲暴食を避け、心身ともに活動的であることが脳を健康に保つ秘訣なのです。