中高年の睡眠不足は、将来の認知症リスクを高める
睡眠不足と認知症の関連性を調査する研究はこれまでにも行われてきましたが、明確な結果は出ていませんでした。
それはこれまでの研究が高齢者のみを対象としていたり、調査期間が短かったりしたためです。
多くの場合、認知症の発現は数十年のスパンで進み、人生のかなり早い時期から始まる場合もあります。
そこでサビア氏ら研究チームは、イギリス人公務員10,000人以上の健康状態を1985年以来継続的に調査している「ホワイトホールII研究(Whitehall II study)」のデータを利用し、長期的な観点で、睡眠時間と認知症の関連性を調べることにしました。
今回の研究ではホワイトホールII研究のうち、7959名の25年間のデータが用いられたとのこと。
その結果、50代、60代の睡眠が6時間以下である場合、通常の7時間睡眠の人と比較して認知症のリスクが高いと判明。
また認知症にはそれぞれ精神因子、心代謝性因子、社会人口学因子、行動学因子があると考えられています。
ところが睡眠時間が持続的に短い中高年は、それらの危険因子とは無関係に認知症リスクが30%増加していました。