極地の氷の融解が地球の回転軸を変えていたと判明!
地球の回転軸は、地球内部のマントルの対流や海流と風の変化など、さまざまな影響を受けています。
しかし、水や氷の分布変化が与える影響は今世紀に入るまで詳しくわかっていませんでした。
ですが2002年に打ち上げられれた気候実験衛星により、重力場の測定値を利用して水や氷の変化を監視できるようになると、興味深い結果が観察されるようになりました。
例えば2005年に起きたグリーンランドの急速な氷の融解は、グリーンランドの質量を大きく削り、軸を東の方向へ、一気に移動させました。
この結果は、気候変動が地球の回転軸に大きな影響を与えていることを示します。
しかし、重力測定による詳細な観測が行われる以前のポールシフトに、どれほど気候変動が影響していたかを調べる試みは難航していました。
研究者たちは1995年から2020年にかけてのシフトが1981年から1995年の15年間でのシフトの17倍高速化したことを知っていたものの、氷の融解が原因だと断定には至っていませんでした。
そこで今回、研究者たちはシミュレーションを用いて、1990年代に起きたシフトと氷の融解の関連性を算出しました。
結果、極地からの氷の融解がシフトを起こすのに十分な質量移動であり、シフト全体の要因のほとんどを占めることを突き止めました。
また残りの要因の多くも、非極地地点での地下水のくみ上げなど、水の質量移動が原因でした。
どうやら現在の地球の回転軸は、マントルの流れや風の変化よりも、氷や水によって支配されているようです。