低濃度の「笑気ガス」でうつ症状が緩和!
研究チームは、治療抵抗性うつ病の患者24名を対象に、笑気ガス(濃度50%)・笑気ガス(濃度25%)・プラシーボ(酸素のみ)の3グループに分け、1時間吸入してもらいました(吸入は1ヶ月ごとに3回実施)。
これらの患者は、過去に平均4.5種類の抗うつ薬の投与歴があり、平均17.5年間、強いうつ症状を患っています。
吸入後は2週間にわたり、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて、患者のうつ症状を定期的に測定しました。
実験を完了した20人のデータを分析した結果、笑気ガスを吸入した患者に、抑うつ症状の緩和傾向が確認できたのです。
患者の55%(20人中11人)は抑うつ症状の少なくとも半分の項目に改善が見られ、40%(20人中8人)は短期的な緩和傾向を示しました。
さらに、85%(20人中17人)は、うつ症状のレベル別カテゴリーが重度から中程度へと軽減しています。
また、笑気ガス(濃度50%)では、吸入後2〜24時間で迅速な効果があらわれましたが、高濃度の副作用として吐き気を感じる患者がいたようです。
一方で、笑気ガス(濃度25%)は、副作用を起こすことなく同等の効果を示しており、コンウェイ氏は「低濃度の笑気ガスで十分な抗うつ効果が期待できる」と述べました。
チームは、次のステップとして、笑気ガス、エスケタミン、プラシーボをより大規模な臨床試験で検討したいと考えています。
近い将来、笑気ガスが重度のうつ病に対する新たな治療薬となるかもしれません。