新しいタイプの連星系による変光星
研究チームが考えた今回の「VVV-WIT-08」の減光を実現するモデルは次のようなものです。
考えられるのは非常に大きく不透明な塵の円盤を持つ天体が、「VVV-WIT-08」の遠く離れた軌道上を回っているということです。
研究チームは欧州南天文台がチリに建設した英国製望遠鏡VISTAを使ったプロジェクト「VISTA Variables in the Via Lactea survey(VVV)」を用いて、10億個もの同じ恒星を10年近くに渡って観測し続けています。
「こうした長期の観測から、今回のような数十年に1度起きる特殊な減光が発見されるというのは、とてもエキサイティングです」と、ハートフォードシャー大学のフィリップ・ルーカス( Philip Lucas)教授は述べています。
まだ、「VVV-WIT-08」を隠した天体がなんであるのかはわかっていません。
こうしたタイプの連星系はまだこれからも見つかる可能性があると、スミス博士は語っています。
ただ、当面の課題はこの伴星が何であるのかを明らかにすることです。
特に疑問なのは、巨星を隠す巨大な塵の円盤の起源です。
通常連星は、互いに近くを回っているため、相手の物質を奪い取って円盤を形成します。
巨星の遠く離れた場所を回っている謎の伴星が、なぜそんな巨大で不透明な円盤に囲まれているのか?
それが解明できれば、この種の星系の進化について、なにか新しいことがわかるかもしれません。