赤血球に含まれる酵素をコンクリートに追加する
コンクリートに生じるひび割れは、放置することで徐々に大きくなり、最終的には建造物の崩壊につながります。
しかしラフバル氏が述べるように、「小さな亀裂が生じた時点で自動的に修復できれば、修理や交換を要する大きな問題には発展しない」はずです。
そこで研究チームは、自己修復コンクリートを開発することにしました。
彼らがインスピレーションを受けたのは、赤血球に含まれる「炭酸脱水酵素」です。
赤血球は取り入れた酸素を体中に届けるだけでなく、細胞や組織から出た二酸化炭素(CO2)を回収し、血しょうで運びやすいように変換します。
そしてこの変換を助けるのが炭酸脱水酵素であり、変換速度を数万倍にまで加速させるといわれています。
では、コンクリート材料に炭酸脱水酵素を加えるとどうなるのでしょうか?
ラフバル氏は、「私たちの体内にある酵素は驚くほど素早く反応するので、コンクリートを修復・強化する効率的なメカニズムとして利用できます」と述べました。